今日、デジタルマーケティングを行う上で、Web広告は必須と言えます。市場を拡大するためにも、日本国内だけでなく、海外に向けてもデジタルマーケティングを行う必要があります。
今回の記事では、デジタルマーケティングを行う上で欠かせない海外向けWeb広告のトレンドや海外向け広告活用のポイントをご紹介します。

海外向けWeb広告で活躍するトレンド広告の種類

これからご紹介するWeb広告は、現在の日本では、馴染みのない広告もあると思います。しかし、既にアメリカなどの海外のデジタルマーケティング市場においては、頻繁に利用されているものばかりです。

海外向けWeb広告を行う上で、今後日本でも常識となる4種類のトレンド広告をご紹介します。

ゲーム型広告

ゲーム型広告は、プレイアブル広告とも呼ばれ、広告上でユーザーがゲームの一部を体験することのできる広告のことです。

実際に、広告上でゲームを体験することができるため、ユーザーはアプリのイメージや操作感を掴むことができます。これによって、インストール後に生じるアプリのギャップを抑え、ユーザーの定着率をあげることができるというメリットがあります。

顧客体験を重視するゲーム型広告は、海外ゲームアプリ市場では既に浸透していますが、日本では優れたUXを設計できる専門家が少ないため、まだあまり浸透していないのが現状です。

アプリ市場が国内外問わず、急成長している領域です。今後、アプリ市場ではゲーム型広告が、ゲーム以外の小売業やECなどの分野でも主流になっていく可能性があります。

縦型動画広告

縦型動画広告とは、従来の横型広告とは異なり縦型の動画のため、スマートフォンの向きを変えずにそのまま再生できる広告のことです。

動画でプロモーションすることによって、視覚的・聴覚的に大量の情報をユーザーに届けることができ、商品やサービスの魅力をテレビCMなどに比べ低コストで伝えることができます。

また、縦型動画広告が導入された背景は、スマートフォンの普及によるものです。従来のインターネット動画広告は、パソコンで視聴されることが前提で、動画が横向きであることが基本でした。

しかし、多くのスマートフォンユーザーが利用するツイッター・インスタグラム・フェイスブックなどのSNSは縦画面で表示され、横画面の広告では余白が生まれてしまいます。動画広告も縦画面であれば、フルスクリーンで表示でき、ユーザーに対する訴求効果も期待できます。

さらに、縦画面広告であることで、広告の流れる際にスマートフォンを持ち変える必要がなく、ユーザーの閲覧負荷も下げることができます。

パーソナライゼーション広告

パーソナライゼーション広告とは、従来のユーザー全体に送る広告とは異なり、ユーザーの様々なデータを分析し、個人に向けたメッセージを送る広告のことです。

従来の広告では、頻繁にユーザーの目に止まることはありますが、オンライン広告自体にマイナスの印象を抱き、逆効果になってしまう可能性がありました。

一方で、パーソナライゼーション広告は、広告自体に関心を持ってもらうために、個人レベルでユーザーに交流し、顧客になってもらうことを目的としています。

そして、ユーザー個人に対して特定のメッセージを送るパーソナライゼーション広告を実現するためには、ハイレベルなデータ収集と分析が不可欠です。

ユーザーの詳しい情報を把握することのできるテクノロジーツールを用いるだけでなく、取得したデータを適切に分析することのできる人員が必要となります。

IoTを活用し、潜在的顧客に対して、精度の高いターゲティングを行うことができるのが、パーソナライゼーション広告の強みです。

インフルエンサーマーケティング

ツイッターやインスタグラムなどのSNSが多くのユーザーに利用されるようになり、芸能人よりも影響力を持つ一般人が登場しました。

インフルエンサーマーケティングとは、そのような有名人をインフルエンサーと呼び、彼らの影響力を活用し、ユーザーに自社のサービスや商品に関心を持ってもらう施策のことです。

この手法のメリットとして、SNSによる拡散が容易なため、多くのユーザーに自社のサービスを認知してもらうことができるということが挙げられます。

そして、実際にサービスを利用したユーザーの口コミを参考にでき、広告を見たユーザーの購買意欲を上昇させることも期待できます。

また、一般ユーザーにとって、インフルエンサーは芸能人よりも身近な存在です。自分自身と何かしらの共通点のあるインフルエンサーが商品を利用していることによって、自然とその商品を使ってみたいと感情を抱かせることができます。

一方で、インフルエンサーマーケティングを行う上で注意すべき点があります。それは、ステルスマーケティングを疑われる可能性があることです。ステルスマーケティングとは、消費者に対して、それが宣伝であると消費者に悟られないように宣伝を行うことです。

ステルスマーケティングだと疑われないようにするために、#PRなどのハッシュタグや企業案件であることを明示する必要があります。

海外向け広告活用のポイント

海外向け広告を配信する上で、重要なことが４点あります。海外向け広告を成功させるために、事前調査と準備を念入りに行い、効果的な配信を行なっていきましょう。

ターゲット地域の消費者ニーズを理解する

1つ目のポイントは、広告を配信するターゲット地域の消費者ニーズを理解することです。国が異なれば、言語や文化も違い、ニーズも様々です。ターゲット地域の消費者ニーズを理解せずに、広告を打ち出しても、無意味に終わってしまう可能性もあります。

まずは、大まかにターゲット地域を選定し、PRしたい商品やサービスがその地域にマッチするかどうかを検討する必要があります。

詳細なターゲティングを実行する

対象地域の消費者ニーズを理解したら、ターゲットをより絞り込み、効果的な広告を打ち出す必要があります。

そのためには、外国語ウェブサイトへのアクセスデータから、流入、問合せ率の高い国を選ぶのが好ましいです。また、海外の顧客と接点をもつ従業員にヒアリングを行い、現地でニーズがあるのかどうか聞いてみる方法もあります。

多くのデータを集め、正確にニーズを分析することが重要です。

丁寧なローカライズを実施する

海外向け広告活用で大きな障壁となるのが、言語の壁です。例えば、海外ユーザーが商品に興味を持ったとしても、言語が異なれば詳しい内容を見てもらえる確率下がってしまいます。

また、文字情報だけでなく、国によって、デザインや色調、イラストなどの視覚情報の好みが大きく異なることもあります。そのため、広告の見栄え部分であるクリエイティブを、ターゲット国向けに作成する必要があります。

対象となる国の文化や習慣を把握し、それに合わせる形で違和感なく商品やサービスをPRすることが重要です。

新しい広告手法を常にリサーチする

同じターゲット地域であっても、流行のSNSやインフルエンサーも変わっていきます。一度成功した広告手法に固執せずに、常にターゲット地域ユーザーのニーズを見極め、新しい広告手法を探すことが長期的にその地域で成功する秘訣です。

最新トレンド広告の活用事例

最後にご紹介した4種類のトレンド広告の活用事例を紹介します。

『Fate/Grand Order』(ゲーム型動画広告の成功事例)

2019年のモバイルゲーム課金売上ランキングにて1位を獲得したアプリ『Fate/Grand Order』は、動画広告を活用している媒体の一つです。

このゲームの動画広告の特徴的な点として、動画広告用に制作したオリジナルのアニメーションを使っていることが挙げられます。

ゲーム内BGMに合わせて、登場するキャラクターたちの迫力ある戦闘シーンが次々と映し出されるので、存分にゲームの世界観を堪能することができます。

『H&M HOUSE Forest』キャンペーン(縦型動画広告の成功事例)

ファッションブランドのH&Mの世界観を体現したグランピング施設の、SNSを連動させた動画広告です。

縦型動画で撮影することにより、モデルの鈴木えみさんが、まるで友達同士で撮り合ったようなプライベート感を生み出すほか、H&Mのアイテムを身にまとった彼女たちのファッションスタイルをより魅力的に見せる手法を採用しています。

また、ターゲット層となる若年層を意識した作りとなっており、友達にシェアしたくなるようなカットを入れ込んでいることがこの広告の成功の要因です。

動画URL(https://www.youtube.com/watch?v=E7qytL3o25g)

Amazon.com(パーソナライゼーション広告の成功事例)

Amazonでは、1998年に書籍購入者によりよいサービスを提供するために一連の機能を導入したときから、膨大なカタログの中から簡易なレコメンデーションを行うといったパーソナライゼーションを進めていました。

そして、ユーザーが購入しやすいように「あなたへのおすすめ」を提案してくれます。また、「よく一緒に購入」「この商品を買った人はこんな商品も買っている」などのおすすめが表示されるのも特徴的です。

パンデミック以降、ショッピングのトレンドは変化し、ブランドの当たり障りのない一般的なメッセージではもはや消費者の共感を得られないのが現状です。

Amazonは、消費者とよりパーソナライズなつながりを築き、顧客を記憶し、製品の購入とほしいものリストをトラッキングし、顧客の考えや要望を予測するといった一貫性のある顧客体験を提供することで成功しています。

かどや精油株式会社(インフルエンサーマーケティングの成功事例)

YouTubeを通して、「ごま油濃口」と「純白ごま油」の2種類の商品を、インフルエンサーを起用することでユーザーにわかりやすく訴求しています。この動画では、レシピ本の出版も行うなど、料理系YouTuberとして人気の1人前食堂さんを起用しています。

YouTubeは、他のプラットフォームと異なり、ユーザーが自主的に動画を観るために訪れるプラットフォームであり、積極的な視聴姿勢が特徴です。

そのため、この動画では、商品をPRするだけでなく、レシピ動画を通して商品理解ができ、自然と購買意欲を上げることに成功しています。

動画URL (https://www.youtube.com/watch?v=tPphipZ6aPA&t=1s)

おわりに

海外向けWeb広告の成功でするためには、常に最新の広告トレンドにアンテナを張り、活用することが重要です。時間をかけて丁寧にユーザーのニーズを把握し、効果的なWeb広告を配信していきましょう。