台湾は日本にも親しみやすい国ということもあり、日本からも様々な企業が進出しています。ただ、親しみやすいとは言え台湾は海外ということもあって、進出の際には独自の取り組みが求められます。

そこで活躍しているのが、台湾におけるリスティング広告の配信です。日本でもお馴染みのリスティング広告ですが、台湾ではどのように運用するのが適切なのでしょうか。

今回は台湾におけるリスティング運用のポイントについて、ご紹介していきます。

台湾のリスティング広告が注目される理由

そもそも、台湾進出においてリスティング広告が注目されているのは何故でしょうか。その理由から見ていきましょう。

親日なので進出ハードルが低い

まず、台湾は比較的親日国とされているため、精神的にも日本企業が進出しやすいと言われているためです。

地理的にも台湾は日本と近しい距離に存在し、ビジネスから観光に至るまで、両国間での人の行き交いも盛んです。

また、交通インフラが整備されているので、日本から商品や必要な材料を届けるのも容易なのがポイントです。

アフリカや南米など、日本から遠く離れた地域では人やモノを安定してやり取りするのが難しくなりますが、台湾のような近場の国となると、リスク管理の難易度も下がり、中小企業でも参入しやすいのが特徴です。

安定供給とマーケティングのしやすさが、台湾の魅力と言えます。

台湾でのユーザー認知拡大につながる

台湾は地理的に日本と近いだけでなく、文化的にも日本と近しい関係にあります。

東アジアの島国という点では日本と共通していますし、早期の段階から資本主義経済を取り入れていたこともあり、経済発展が早いタイミングで進んでいた国の一つでもあります。

そのためインターネット利用も現地では非常に進んでおり、あらゆる情報のインプットはネット経由で進んでいます。

リスティング広告を使ったプロモーションも、そんなネット社会が浸透している台湾では有効です。特に初めて台湾に進出するという企業は、そのブランド認知を高めるところからスタートする必要があります。

リスティング広告を介して現地での露出頻度を高め、早期の認知度向上を目指せます。

新しい販路を創出できる

台湾には日本に近いライフスタイルがあるとは言え、国外地域であるため、日本市場では得られなかったシェアを獲得できる可能性があります。

競合関係や需要と供給のバランスが日本とは大きく異なるため、うまくアプローチできれば現地でのシェアを拡大し、日本以上の販路を獲得可能です。

日本市場における成長に限界を感じている場合、台湾への進出は魅力的な選択肢です。

中国進出のきっかけになり得る

台湾と中国は事実上異なる国として扱われているため、それぞれの地域でリスティング広告を配信したり、ビジネスを展開するためには別個に対応しなければなりません。

しかしそれでも、台湾は日本よりも中国に近い文化圏であるため、今後中国進出を見据えている場合には大いに参考になる部分も大きいはずです。

いきなりの中国進出は困難という場合には、まず台湾から進出を進め、中国へとステップアップしていくというのも選択肢の一つでしょう。

台湾のリスティング広告に適した検索エンジンとは

続いて、台湾で活用されている検索エンジンについて、主要なものを見ていきます。適切なプラットフォームを選び、リスティング広告の効果を最大化しましょう。

Google

まず、台湾で最も人気のある検索エンジンは、やはりGoogleです。Googleは世界で9割を超えるシェアを誇る検索エンジンですが、台湾においてもマーケットシェアは94%近い数字となっており、圧倒的な人気を誇ります。

参考：statcounter“Search Engine Market Share Taiwan”
https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/taiwan

また、リスティング広告を運用できるサービス「Google広告」も現地で健在です。すでに日本でGoogleのリスティング広告を運用した経験がある場合は、スムーズに台湾でも展開できるでしょう。

Yahoo!奇摩

台湾向けのリスティング広告において、もう一つ注目しておくべきなのが、Yahoo!の存在です。台湾版のYahoo!である「Yahoo!奇摩」は、4.8%とはいえ現地ではGoogleに次ぐ2位のシェアとなっており、一定の需要が確認できます。

Yahoo!奇摩は名称こそYahoo!ですが、検索エンジンのアルゴリズムにはBingが採用されています。

実は、Yahoo!Japanの検索アルゴリズムにはGoogleが採用されているため、日本と台湾ではYahoo!の役割に隔たりがあります。

Bingを活用したYahoo!奇摩でリスティング広告を配信する場合、Google広告ではなくBing Adsという、Bing独自の広告配信プラットフォームに出稿しなければなりません。

Google単体で良いという場合は問題ありませんが、Yahoo!ユーザーも台湾で確実に押さえたい場合、二種類の広告配信が必要なことは覚えておきましょう。

台湾でリスティング広告を活用するポイント

台湾向けにリスティング広告を展開する場合、主に2つのポイントは確実にクリアする必要があるでしょう。以下でご紹介します。

ネイティブ人材を確保する

一つ目のポイントは、ネイティブ人材の確保です。台湾向けのリスティング広告を配信する場合、現地の人に向けて訴求力を発揮する広告でなければいけません。

現地向けの広告配信は、日本語の文言を翻訳するだけで良いとする人もいますが、より優れた訴求力を発揮するためには、丁寧なローカライズが求められます。

単に日本語の文章を翻訳するだけでなく、現地の人に自然と受け入れてもらえるフレーズを新たに作成することで、コンバージョンを高められます。

そのためには、台湾での生活経験の長い専門家や、ネイティブの人材を招き入れて、業務に取りかかってもらう必要があります。最適な人材を確保し、効果のあるリスティング広告を実現しましょう。

検索方法の違いを理解する

意外と感じられることも多いのですが、国によって検索エンジンの使い方は微妙に異なります。台湾で特徴的なのは、キーワードの入力方法です。

日本では「ランチ　新宿」などキーワードの間にスペースを空けるのが一般的ですが、台湾ではこのスペースを空ける文化はなく、ワードを連続させて検索するケースが日常です。

そのため、広告配信の設定の際、キーワード選定においてはこれを踏まえた言葉選びが求められます。

台湾向けのLPやECサイトを構築する

これがなければリスティング広告が使えない、というわけではありませんが、日本語のサイトだけでなく、台湾向けのサイトを用意しておけば、より高いコンバージョンを期待できます。

せっかく台湾語表記の広告から流入してもらえたのに、リンク先が日本語であれば、ユーザーによってはそこで離脱してしまう場合もあります。自分の欲しい商品や情報がどれなのかも分からなくなるので、最低でもテキストを自動で現地の言葉に変換する機能などは欲しいところです。

可能であれば、台湾に特化したサイトを一から用意し、現地向けのデザインへ最適化させられれば集客効果を最大化できます。

リスティング広告と併用したい手法

リスティング広告単体でも集客を期待できますが、他の広告施策と合わせることで、さらに有効な結果を得られます。以下の施策を例に見てみましょう。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、ビジュアルでユーザーにアピールするタイプの広告手法で、Webサイトに貼り付けるバナーや、動画広告がそれにあたります。

リスティング広告では基本的にテキストだけでのアピールとなるため、ビジュアルが重視される商材を扱う場合、他社との違いや自社のユニーク性を表現することが難しくなります。

ディスプレイ広告の運用は、そんなリスティングの弱点をカバーできる強みを持っています。縦長や正方形の広告など、バナー広告の場合は形状を様々選べますし、イラストや写真、色彩など、ブランドの報告性に合わせて多彩に仕上げることができます。

動画広告であれば、静画ではなく映像によってプロモーションを行えるため、躍動感や動きが必要な商品であれば高い訴求力を期待できます。

SNS運用

台湾でWebを介したプロモーションを展開する上では、SNSの活用も重要です。世代にもよりますが、日本と同じく台湾においてもSNSは重要な情報プラットフォームとして活躍しており、様々なコミュニケーションや情報のやり取りが行われています。

特にFacebookやYoutubeといったツールは現地に深く浸透しており、毎日のように台湾人が利用するサービスです。幸い、これらのサービスは広告機能も豊富に有しているため、リスティングと合わせて活用してみましょう。

おわりに

今回は、台湾におけるリスティング運用のポイントについて、ご紹介しました。

台湾では独自のインターネット事情があるものの、日本と共通点も多く、比較的進出しやすい地域です。

現地で人気のサービスや日本との違いを理解し、リスティング広告活用を進めましょう。