日本と海外ではSNS運用にどのような違いがある?ポイントを解説
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グローバルなサービス展開が魅力のSNSですが、実は地域によって微妙にトレンドが異なるのは注目したいところです。特に日本と海外ではトレンドに大きな違いがあり、海外のユーザーとのやり取りにギャップが生まれることもあります。
今回は、日本と海外のSNS運用において、それぞれにどのような違いがあるのかについて、ご紹介します。
日本で人気の高いSNS
まずは、日本で人気の高いSNSを二つご紹介します。どちらもなじみ深いサービスであるため、日常的に使用しているという人も多いのではないでしょうか。
LINE
一つ目のサービスが、LINEです。LINEは韓国のNAVERが2012年より提供を開始しているサービスで、現在は本拠地を日本に移してサービスを継続しています。
LINEの最大の特徴が、メッセンジャー機能です。メールよりもはるかに素早くテキストを使ってやりとりができるということで、多くの日本人が愛用しています。
テキストだけでなく、通話や画像・動画の送信も可能なので、様々なコミュニケーションに応用できるサービスです。
2020年時点で、LINEのユーザー数は日本だけで8,600万人を突破しており、この数は世界でもトップです。1.6億人以上のユーザーがいるとされるLINEですが、その半数を日本人のユーザーが占めています。
利用者は東南アジア地域にも集中しており、台湾では2,100万人、タイに至っては4,700万人のユーザーが存在しています。
参考: Business of Apps “Line Revenue and Usage Statistics (2020)”
Twitterはアメリカで誕生したSNSですが、実は日本人の利用者が多いことでも有名なSNSです。2006年に誕生したTwitterは、現在日本のSNSユーザーの64.1%が利用しているサービスとして活躍しており、この割合は日本トップです。
アジアはTwitterが人気の地域でもあり、全体利用者の25%がアジア地域に集中していることがわかっています。
参考:Hootsuite “36 Twitter Stats All Marketers Need to Know in 2021”
海外で人気の高いSNS
続いて、海外で人気の高いSNSについて、見ていきましょう。こちらも日本では馴染みのあるサービスが揃いますが、日本以上に大きなマーケットが各地に存在しています。
Instagramは、画像や動画の共有に特化したSNSで、誰でも手軽に写真をおしゃれに加工できる機能を有していることから、若年層を中心に盛り上がっているサービスです。
近年は通常のアップロード機能やタイムラインだけでなく、「ストーリー」と呼ばれる気軽に投稿できる機能も人気です。通常のコンテンツとは異なり、その場で撮った写真をアップして共有できるサービスで、24時間以内に消えてしまうという仕組みになっていることから、記録に残ってしまうというプレッシャーを感じることなく利用できます。
月間ユーザー数は10億人を上回っており、アメリカを始め、世界各国で広く利用されています。
最近はInstagram上の投稿のクオリティの高さで多くのフォロワーを集め、大きな影響力を有するインスタグラマーと呼ばれるインフルエンサーも登場しています。彼らはインスタグラムの広告塔としても活躍し、さらなるユーザーの増加にもつながっています。
Facebookは、主にオフラインでの知人・友人との繋がりや、家族とのコミュニケーションをオンラインでも楽しめることに主眼を置いたサービスです。匿名性が低く、身内同士での繋がりが中心となるサービスのため、TwitterよりもLINEに近しいサービスであると言えます。
こちらも近況報告などに使われるだけでなく、LINEのようなメッセンジャー機能の利便性が高いため、日常使いが普及しています。欧米ではテキストチャット用のアプリとして親しまれており、東南アジアでも同様の人気を誇ります。
日本向けと海外向けでSNS運用はどう変わるのか
上記のように、日本と海外では人気のサービスに相違点が見られます。SNS運用を海外向けに進めていく場合、日本向けの運用とどのように変わってくるのでしょうか。
主要プラットフォームの違い
一つ目の違いが、プラットフォームの違いです。上記で紹介した通り、日本と海外では主要なSNSに違いがあるため、日本と同じプラットフォームを使っても、効果を得られない場合があります。
例えばアメリカ向けのターゲティングを検討しているのにもかかわらず、現地にほとんどユーザーのいないLINEでアメリカ向けの広告を発信することは、意味がありません。
海外向けにSNSを運用する場合は、まずその地域で人気のSNSをピックアップし、それを使ってアカウントを運営していくことが必要です。
これまで日本向けのSNS運用を実施してきた場合、それが海外でも通用するサービスであれば問題ありませんが、異なるサービスが活躍している際には、その国向けに新たに運用を始めると良いでしょう。
日本向けと海外向けで分けた方が、ユーザーに対する影響力も効果的に行使できるので、円滑なSNS運用に役立ちます。
対応言語の違い
二つ目の違いが、対応言語です。日本向けのSNS運用は日本語で問題ありませんが、海外向けとなるとその地域に合わせた言語対応が必要になるため、情報発信は日本向けよりも負荷が大きくなります。
また、海外対応を英語のみで済ませる企業もありますが、ターゲットの地域で話されている言語で実施できるのがベストです。
中国では中国語、タイではタイ語といったように、進出先の国が増えれば増えるほど、扱う必要のある言語が増える点に注意しましょう。
プロモーション方法の違い
海外と日本では、消費者への訴求方法にも異なるアプローチが求められます。というのも、国や地域によって文化は大きく異なるため、何をどう受容するか、コンテンツの良し悪しの基準が違ってくるためです。
例えば、日本の大手化粧品メーカーである資生堂の例を見てみましょう。資生堂は日本向け・海外向けの二つのInstagramアカウントを持っていますが、見比べてみるとその違いがわかります。
まず日本のアカウントでの投稿ですが、こちらは文字情報の割合が非常に多い傾向にあります。画像の中にテキスト情報を加えることで、具体的な商品の効果や効能を伝達し、ロジカルに魅力を感じてもらうことに主眼を置いています。
URL:https://www.instagram.com/shiseido_japan/
一方の海外向けアカウントですが、こちらは文字よりも、まずビジュアルに重きを置いた投稿となっているのが特徴です。日本語版ではみられた同様のコンテンツも、テキスト情報が省かれているなど、明らかに日本と海外で差別化を図っていることがわかります。
資生堂では各地域に向けてInstagramを運用しているわけではないため、文字情報に頼れないという事情もあるとは思いますが、それでも日本向けとの違いが明確に出ている運用方法を実施しています。
URL:https://www.instagram.com/shiseido/?hl=ja
海外向けSNS運用のポイント
海外向けSNS運用を成功させる上では、以下のようなポイントを押さえることが重要になるでしょう。
ユーザーニーズや文化を調査する
一つ目は、ターゲット地域のユーザーニーズを把握することです。SNSの利用傾向や、消費者が好むコンテンツは地域性がよく出るため、まずは現地のニーズや文化を丁寧に調査しましょう。
ローカライズ環境を充実させる
二つ目に、ローカライズ環境の整備です。機械翻訳でコンテンツの翻訳を行うのではなく、ネイティブ人材などを起用し、現地の人へ確実に伝わるコンテンツの配信ができるよう、専門の人材を招き入れることが重要です。
現地の最新トレンドや、受けやすいデザインやプロモーションに関する感性を持ち合わせているため、ネイティブの人材は翻訳要員以上の価値がある存在です。
インフルエンサーを起用する
三つ目が、インフルエンサーの起用です。SNSを海外で運用するためには、フォロワーをゼロから集めなければならず、効果が出るまでに時間がかかります。
SNSで大きな発信力を持ったインフルエンサーへプロモーションを依頼することで、短期間で商品の販売促進や、企業のブランド認知向上のサポートを行ってくれます。
迅速に影響力を発揮していきたい場合、彼らの手を借りると良いでしょう。
おわりに
今回は、日本と海外で異なるSNS事情や、その運用方法についてご紹介しました。日本と海外ではSNSのトレンドや文化が異なりますが、基本的な扱い方は同じなので、すでにSNSの運用経験がある方は大きなハードルを感じずに最適化できると思います。
どうすれば現地の人に向けて訴求力を高められるか、ということを念頭に、SNS運用を進めていきましょう。