Baidu(百度)は中国で最も人気の高い検索エンジンで、現地ではGoogleが使用されていない分「中国のGoogle」と呼ばれることもあるほど影響力のあるWebサービスです。

そんなBaiduを有効活用するための方法として、リスティング広告があります。Googleのリスティング広告と同様、Baiduのリスティング広告も高い発信力を生かし、ユーザーに効果的なアプローチを実現できます。

今回は、そんなBaiduのリスティング広告がなぜ中国進出に有効なのかについてや、リスティング広告の活用方法についてご紹介します。

Baidu広告の種類

Baidu広告は、主に以下の4つの種類に分類することができます。順に役割を見ていきましょう。

百度リスティング広告

百度リスティング広告は、Baiduで検索を実施した際に表示されるタイプの広告で、いわゆるGoogleのリスティング広告のBaidu版です。検索したキーワードに合わせて、予め登録されていた広告が配信される仕組みになっているため、潜在ニーズのあるユーザーにのみ広告が表示され、クリックされる傾向にあるので、訴求力のある手法です。

BaiduはGoogleと全く関係がないサービスなので、SEO対策などは一から実施しなければなりません。しかしリスティング広告枠を購入することで、SEO対策を行わなくとも最上位を確保できるため、短期間で成果を発揮しやすいサービスとなっています。

百度アドネットワーク広告

百度アドネットワークは、Baiduが展開しているWebやアプリの広告枠を購入し、自社広告を配信できる機能です。ユーザーの性別や年齢、趣味嗜好に合わせてターゲティングが行えるので、多様なユーザー層に向けてアプローチできる強みを持っています。

Baiduの持つアドネットワークは、1日あたり約180億ものインプレッションを有しており、その影響力は絶大です。その多くは中国向けのサービスであるため、中国国内における発信を強化できます。

百度インフィード広告

百度インフィード広告は、Baiduが運営するアプリ内のフィードに表示される広告で、他の広告手法よりもナチュラルな形式で、アピールできる手法です。

Baiduは複数のアプリでインフィード広告を提供しており、検索アプリの「⼿机百度」や掲示板サービスの「百度贴吧」、モバイルブラウザアプリの「⼿百度浏览器」と、バリエーションが豊富です。

1日あたり数十億にものぼるPV数を誇る各アプリで影響力を発揮できるため、魅力的な広告手段です。

百度ブランドリンク広告

百度ブランドリンク広告は、自社の名前や商品の名前、ブランド名で検索したユーザーに対して、検索結果のファーストビューを提供することができる、という広告です。

自社について調べてくれたのにもかかわらず、他の会社のサイトに集客が流れてしまうといった事態を防ぐことができるため、ある程度認知度が高まった段階で発信するのに最適な広告手法です。

競合企業のリスティング広告の順位を下げることにもつながるため、さらなる見込み客の囲い込みを実現できます。

Baiduリスティング広告の特徴

このように、Baiduは様々な広告媒体を提供していますが、中でも最も人気なのがリスティング広告です。Baiduのリスティング広告の特徴について、確認しておきましょう。

クリック課金形式を採用

Baiduのリスティング広告は、クリック課金形式を採用しています。広告の出稿そのものに料金は発生せず、ユーザーが自社広告をクリックした時点で料金が徴収されるという仕組みで、高いコストパフォーマンスを発揮します。

従来のマス広告や他の広告出稿の場合、広告枠を借りる時点でお金が発生するのが一般的であるため、その費用対効果については疑わしいところもあります。

しかしリスティング広告であれば、実際に広告がクリックされた回数だけ料金を支払えば良いので、効果が出るまでは事実上料金は発生しません。

効果がないのに維持費が発生し続ける、ということもないので、効果測定などをじっくりと行いながら、ベターな広告施策を追求できます。

中国で実施できる数少ない広告手段

Baiduのリステインング広告は、中国向けに配信できる数少ない広告手法の一つです。中国におけるインターネット事情は特殊で、日本やその他の国と圧倒的に異なる点となっているのが、グレートファイアウォールと呼ばれるネット検閲システムの存在です。

グレートファイアウォールは、中国国外のWebサービスやアプリを一切遮断し、自国からは利用ができないよう促す仕組みです。海外のサイバー犯罪の脅威から身を守れるというメリットがある反面、GoogleやYoutube、Facebbookなどの主要なサービスが一切利用できないため、インターネットの使い方に大きな制限があります。

そのため、中国では独自のネットサービスや環境が提供されており、Baiduもそんな環境を構築しているサービスの一種です。日本ユーザーなど、海外から中国の広告配信サービスなどを利用するためには、そういった事情もあり何かと制約が多く日本向けに広告を配信するのとは違ったアプローチが求められます。

幸いにも、Baiduは日本からでも利用がしやすく、影響力の高い媒体であるため、数少ない有益なサービスとなっているのです。

Baiduリスティング広告が中国進出に活躍する理由

次に、Baiduのリスティング広告がなぜ中国進出に役立つのかについて、主な理由を3つほどご紹介します。

6億人もの中国人ユーザーへアプローチできる

一つ目の理由は、膨大な数のユーザーにアプローチできるという点です。Baiduは中国最大の検索エンジンを提供していることもあり、そのユーザー数は月間で6億人にものぼります。

1日の平均検索回数はおよそ100億回で、その利用率は90%を超えているという、脅威的な影響力を誇るため、これほどのメディアを活用できる広告サービスは他にありません。とにかく高い発信力を有効活用できるため、Baiduのリスティング広告は他のサービスより群を抜いていると言えます。

母数が多いだけでなく、多様なニーズを持ったユーザーが存在するので、メジャーなトピックからニッチなニーズに至るまで、あらゆる商品の販売や認知度向上に最適なサービスとなっています。

日本法人とコミュニケーションが取れる

二つ目の理由は、Baidu公式の日本法人とコミュニケーションができるという点です。中国で展開している広告サービスの利用は、通常手続きが複雑になってしまいがちです。現地に中国法人を建てなければならなかったり、中国の企業とやりとりして広告を配信する必要がありますが、Baiduは公式の日本向けサービスが利用できます。

Baiduが日本向けに展開しているBaidu Japanでは、リスティング広告を含めた様々なBaidu向けのサービス利用における入り口となっています。Googleのように当日に広告を配信してしまう、とまでのスピード感はないものの、申し込みから数日で広告配信を実現させることもできるため、利用価値の高いサービスです。

また、Baidu Japanは日本語の公式サービスも充実しているため、担当者の中に中国語話者がいなくとも、気軽に利用できるのも特徴です。利用にあたっての最低限の情報は直接得られるため、尻込みする必要はありません。

複数の広告施策と併用できる

Baiduではリスティング広告の他に、複数の広告施策を併用できるのも特徴です。上記で紹介したように、Baiduでは主に4つの広告手法が提供されており、いずれも日本から利用ができるものばかりです。

リスティング広告は単体でも効果的ですが、複数の手法を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。メインで扱う広告をリスティング広告とし、ある程度会社や商品に知名度が出てきたら、ブランドリンク広告やアドネットワーク広告を利用することで、見込み客の囲い込みを進めましょう。

初速を高めたい場合には、インフィード広告へ積極的に力を入れることで、短期間で注目度を高めることも可能です。

Baiduリスティング広告を活用するポイント

Baiduリスティング広告をフル活用するためには、以下のようなポイントも重視することが求められます。

クオリティスコアに注目する

Baiduでは、クオリティスコアと呼ばれる独自の基準で広告や検索結果の表示順位が決まっています。これはGoogleにおけるSEOのような評価基準で、様々な要素がスコアリングに関係しています。

広告の掲載期間の長さやクリック率の高さ、LPの表示速度やユーザーの滞在時間、ページ構成などの評価軸があり、これらのユーザビリティが高いほど、スコアも高くなる傾向にあります。

リスティング広告は便利な広告手法ですが、それだけに競合も多いものです。クオリティスコアを高め、競合との差別化を図りましょう。

文字数規定や広告表示方法を理解する

二つ目が、文字数規定や広告表示方法への理解です。クオリティスコアとも少し関連する話ですが、リスティング広告におけるルールやセオリーの理解を深めることで、よりユーザーにとって最適な広告表示を実現できます。

タイトルは最大25文字で、説明文は前半と後半が40文字ずつ表示されるなどのルールや、どんな場所に広告が配置されるのかを把握しながら、広告運用を進めましょう。

おわりに

Baiduは優秀な広告媒体として機能しており、近年は日本法人も登場したことで、日本からの利用も容易になりました。

今後、Baiduリスティング広告を用いた競合の数が増えてくることも予想されるため、早めに運用の検討を進めておくことが良いでしょう。